知識
2015.07.01
月餅を食べながら月を眺めよう。中国のお月見「中秋節」の楽しみ方
日本の十五夜にあたる旧暦の8月15日は、中国では毎年「中秋節」のお祭りが行われます。「中秋節」は、中国の四大祭のひとつ。中国の旧暦では、一年間は四季に分けられ、さらに季ごとに孟・仲・季と分けられているので、仲秋とも呼ばれているそうです。また、季節が秋の中旬なので、中秋と呼ばれるという説もあります。
この時期、日本国内でも中華街や中華料理店に行くと、中秋節の雰囲気を味わうことができます。ぜひ、この中国の伝統的なお祭りを日本でも楽しんでみましょう。
中秋節の歴史
中秋節を祝う習慣は3000年余の歴史があり、古代の中国では「月祭り」までさかのぼります。古代の中国では月の神様を祭るお祭りが秋の暮れに行われていました。お祭りでは、大きい香炉、月餅、スイカ、リンゴ、ナツメ、スモモ、ブドウなどの供物を用意していました。
中でも、月餅とスイカは重要なお供え物で、スイカは蓮の花の形に切って飾ります。神仏の像を月の方向に置き、赤いろうそくを灯し、家族みんなでお祈りをします。最後に、家主の妻がそこにいる人たちのために、丸い月餅を均等に切り分け、みんなで食べるのです。
中秋節には他にもいくつかの名称がありますが、このように、家族みんなが揃って、幸せを祈るお祭りであること、また、空に現れるまん丸の月は家族団らんを象徴するため、明の時代からは「団欒節」ともいわれるようになりました。中国の地域によっては、月餅ではなく、月餅に似た焼きパンを作るところもあるようです。
また、街では、たくさんの美しいランタンが灯されたり、バロンサイという獅子舞が舞ったり、とてもにぎやかになります。縁結びにも良いといわれているので、気になる人と一緒に中華料理を食べに行って、帰り道は一緒に月を眺めながら月餅を食べると、良いことがあるかもしれませんね。
なぜ月餅を食べるの?
月餅は、中国で大変歴史の長いお菓子です。中国語では「ユエピン」と発音します。月餅は、中秋節以外の時にも食べられています。戦勝祝いのお菓子として、また、甘くておいしい丸いお菓子は、家族円満や無病息災の象徴として、祝いの席で食べられてきました。
中秋節は、中国の人たちにとっては、1年のなかでも非常に重要な祝日です。家族とともに幸せを祈る日。だからこそ、中秋節には、家族団らんの象徴である月餅を食べながら、月見をする風習が生まれました。また、親戚や親友など、大切な人に月餅を贈るのも流行っているようです。
月餅の原材料は、地域によって異なります。一般的に日本市場に出ている月餅は「広東省スタイル」といわれています。薄い皮のなかに、卵の黄身、小豆餡、蓮の実、くるみ、松の実などが入っています。なんと中国では、スターバックスコーヒーやGODIVAといったお店でも、オリジナルの月餅が発売されているとか。中秋節に中国へ訪れたら、かなりレアな月餅を食べられるかもしれませんね。
2015年の中秋節は9月27日です。皆さんも家族や大切な人と美しい中秋の名月を眺めながら、月餅を食べて、無病息災、家族円満を願ってみませんか?