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横浜中華街をもっと知ろう〜中国に関する豆知識〜

文化

2015.12.01

「春節」は旧暦の1月1日だけじゃなかった!

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日本では、明治時代に新暦が採用されて以来、旧暦の行事や習慣は少なくなっています。しかし、中国ではまだまだ旧暦の行事や習慣が旧暦に沿って行われていることも少なくありません。
そんな旧暦行事のなかでも、中国でもっとも重要とされ、盛大にお祝いされるのが旧正月のお祝い「春節
です。古来から伝承される習わしが、今でも継続して日常生活の一部として行われています。では、春節とはどんな行事なのかをひも解いてみましょう。

春節はなぜおめでたいのか?

世界のほとんどの国では、365日を1年とする新暦(グレゴリオ暦)を採用しています。その昔、日本を含む東アジアの多くの国で採用されていたのは、太陰太陽暦の一種である中国暦と呼ばれるものでした。これは、月齢29.3日を1月として計算するもので、春夏秋冬の区切りに合わせて決められていました。
中国でも、辛亥革命(しんがいかくめい)によって中華民国が立国してから新暦が採用されました。しかし、中国では伝統的な行事や風習は今でも中国暦(旧暦)で行われています。特に、1年のスタートとなる「正月」を祝う行事は、新暦では季節感が伴わないこともあり、旧正月の正月「春節」でお祝いする習慣が根強く残っています。

春節の歴史とは?人食い獣を撃退した記念日

旧正月を「春節」と称して祝う風習は、4千年以上前からあったといわれています。なぜ1年のスタートを盛大に祝うようになったかについては諸説ありますが、その代表的なものは、人を食べるどう猛な獣にまつわるエピソードです。
昔あるところに、「年」という名の、それはそれはどう猛な獣がいました。年は、その1年が終わる大晦日の夜になると、人の住む町へ現れ、年越しの晩餐をするように決まって人を襲って食べていました。毎年続くこの状況に困った人たちは、ある年の暮れに食料を用意して、身を隠して年が現れるのを待ちました。現れた年が食料に気を取られていると、町の人たちは赤い服を着て松明(たいまつ)を手に、爆竹を鳴らしながら年を取り囲み、袋叩きにします。そして、無事このどう猛な獣を追い払うことができましたのでした。
このように、町の人たちが無事追い払うことができたお祝いと、また出現しないようにとの用心を兼ねて、この人食い獣退治の顛末を再現するのが旧正月「春節」の習慣になったということです。

春節には人々は何をするのか?

現在の中華人民共和国では、旧暦1月1日から3日間が春節の祝日と定められています。一般的に国民たちは、この前後の7日間に長期休暇を取って、古くから伝わる年越しや新年の行事を行います。その内容についてご紹介しましょう。

祭竈節(さいそうせつ)

春節の準備のことを祭竈節(送竈)といい、旧暦12月23日からスタートします。これは、竈(かまど)の神様が天上へその年の人間たちの善悪について報告する旅に出るとされる日で、この竈神(そうしん)のご機嫌を取るために、供え物をします。

掃房日

旧暦12月24日には「大掃除の日」があります。その昔、とても意地悪な「三屍神(さんししん)」という悪口好きの神様が人間にとりついていると信じられていました。この三屍神は、天に昇っては人間世界での天の悪口を報告していたそうです。そして、その三屍神の嘘の報告によって怒った天が「クモの巣のある家はつぶしてしまえ」と命じます。これを聞いてますます喜んだ三屍神は、さらに事態を悪化させるべく、自ら家々に蜘蛛の巣を仕掛けて回りました。ところが、この悪事を竈神が発見。天は、人間が掃除をするように仕向けて、これらの悪事によって家がつぶされないように掃除をするようになった、という言い伝えがあります。

大晦日(おおみそか)

竈神が人間の所業を天に報告しに行き、人間界の家に戻ってくるのが旧暦12月31日です。竈神を迎えるため、お供え料理として餃子を一家揃って作ります。餃子は昔の金塊のかたちを模していて、山盛りにすることで「お金持ちになれるように」という縁起を担いでいます。
家の玄関には、「春聯(しゅんれん)」と呼ばれるめでたい対句が書かれた紅色の紙を左右に分けて貼っておきます。春聯を貼ってからは、元旦の朝まで玄関を開けてはいけません。家での夕食の後には、年長者から「紅包」や「圧歳銭」と呼ばれるお年玉が配られます。この夜は寝ずに明かし、日付が変わる時刻に爆竹を鳴らします。これは、家の中の悪いもののけを追い払い、歳神様を呼び込む意味があるそうです。

初一

旧正月での「元旦」は「初一」と呼びます。この日は、親類縁者や商売関係者の家を訪問し「拝年」といわれる年始の挨拶まわりを行います。おめでたい言葉を並べた挨拶をして「拝牌」という挨拶状を渡します。この拝牌が年賀状の起源だといわれています。

運気アップを兼ねて中華街式新年を味わおう!

横浜中華街でも、春節の日には爆竹が鳴り響き、春の訪れを感じさせる華々しい行事が行われています。日本では「お正月休み」という程度の認識しかなかった春節も、祝い方を知って一緒にお祝いすれば、運気アップに期待できるかもしれません。
横浜中華街では、古い風習行事だけでなく、街が団結して行うイベントも新たに加えて、旧正月の「春節」を盛り上げようとしています。新暦の正月に日本式の初詣をした後は、横浜中華街式の旧正月の過ごし方を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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