文化
2016.01.01
黒船来航と大きな関係が。日本の西洋音楽発祥の地は横浜だった?
幕末のペリー来航とともに、横浜に上陸した西洋音楽。当時、珍しい西洋楽器の演奏、五線譜で記される西洋音楽の音色は、日本人たちに衝撃を与えました。今では当たり前に聞かれている西洋音楽。その始まりは意外と知られていないものです。今の横浜の街に訪れると感じる「音楽」の存在。今度の横浜への旅がちょっと特別になる、西洋音楽と横浜の特別な関係をご紹介します。
日本の西洋音楽に関わる歴史について
西洋音楽が日本に最初に渡ってきたのは、戦国時代後期から江戸時代初期にかけて、いわゆる「キリシタン時代」といわれています。キリスト教の布教で歌われていた讃美歌がその始まりです。しかし、宗教と関連するものだったため、日本政府の禁教政策もあって、結果的には日本で根づくことはありませんでした。
江戸時代に入り、西洋音楽はオランダからバタヴィア(現インドネシア・ジャカルタ)を経て、日本の長崎・出島に入ってきました。そしてこの後、日本の西洋音楽定着に大きなきっかけとなったのが、ペリー艦隊が率いてきた軍楽隊による演奏でした。その時演奏された曲は、アメリカ国歌とヘイル・コロンビアだった、という記録も残っています。この波が、今日まで続く日本の洋楽文化の基礎となったのです。
才能あるアーティストも多く輩出している横浜
横浜は首都圏に近いということもありますが、個性的で独創的な才能を持ったアーティストがたくさん輩出されている街。横浜という街が持つ西洋音楽との関係性、西洋と日本の文化が融合する恵まれた環境も、優秀な音楽人材を輩出する原動力になっているのかもしれません。横浜の西川虎吉という人物は、日本で初めて風琴(オルガン)の製造に成功したといわれています。その他、国内外で活躍するジャズ、クラシックミュージシャンもたくさんの横浜出身者がいます。
J-POPの成長にも大きく影響
西洋音楽発祥の地といわれる横浜は、日本のJ-POPにも影響力をもちました。横浜は、有名なJ-POPアーティストをたくさん輩出しています。これらのアーティストたちは、全国的に著名なだけでなく、地元横浜でのライブ活動や学校への校歌提供など、多方面にわたり、横浜の音楽を発展させるために、今もなお活動を行っているようです。
横浜で行われているさまざまな西洋音楽の活動
横浜は、日本を代表する西洋音楽の街として、日本最大級のジャズ音楽イベントや西洋音楽の祭典が開催されています。その軌跡をいくつかご紹介しましょう。
横浜音祭り2013~音楽の海へ~
2013年、文化観光局による音楽フェスティバル「横浜音祭り2013~音楽の海へ~」が開催されました。2カ月という長期間にわたり、横浜市全域のホールや特別会場で、クラシック、ジャズ、J-POP、アニメソングなど、幅広い西洋音楽ジャンルによる全315のプログラムが行われました。
横濱ジャズプロムナード
日本最大級のジャズフェスティバル「横濱ジャズプロムナード」は、市民とミュージシャンが一体となって「街全体をステージに」を合言葉に1993年にスタート。今では、毎年行われるイベントとして話題です。「日本のジャズのふるさと」「ジャズの街・ヨコハマ」を、このイベントを通じて国内外にアピールしています。
クラシックヨコハマ
横浜の街がクラッシック音楽一色になる「クラシックヨコハマ」は、2015年で9年目を迎えました。横浜の音楽シーンを盛り上げている「横浜みなとみらいホール」で行われています。横浜市にはクラシック音楽振興協会があり、イベントの開催だけでなく、セミナーや交流会、コンクールなど、次世代アーティストを育成する試みも行われています。
ペリー来航を機に、横浜にもたらされた西洋音楽。「音楽」を観光のテーマにして、その歴史を感じられる横浜のスポットやイベントを訪れてみてはいかがですか?