歴史
2016.11.02
中華料理店の回転テーブルは日本発祥だった?
中華料理店でおなじみの回転テーブル。大皿に盛られた料理を、大勢で取り分けて食べることの多い中華料理の長い歴史の中で誕生したものかと思いきや、実は日本発祥の品なのだとか。中華料理店で見かける回転テーブルは、どのようにした誕生したのでしょうか? その秘密に迫ってみましょう。
回転テーブルの生みの親は、目黒雅叙園の創業者
中国発祥と思われがちな回転テーブルですが、実は東京の総合結婚式場・目黒雅叙園で生まれたもの。創業者の細川氏が開業4年後の1932年に発案したそうです。
大皿料理で提供される中華料理は取り分けが難しい。かといって一人ひとりに給仕すると、高級料亭のように心付けが発生するなど、お客さまが気軽に利用できなくなってしまうかもしれない。また、お客さまが料理を取り分けるために、立ったり座ったりするのも大変だということで、お客さまが各自で取り分けしやすい回転テーブルを発案したといわれています。
明朗な料金で安心して食事を楽しめるように配慮された回転テーブルは、お客さま側の視点に立った思いやり、おもてなしの心が生んだといえるでしょう。何とも日本人らしい気配りが感じられます。
中華料理店での普及率高し!
目黒雅叙園で誕生した回転テーブルは、日本各地の中華料理店に広がりをみせ、中華料理店の必需品ともいえる存在になりました。中華料理の本場・中国でも見かけられるようになった回転テーブルですが、それは目黒雅叙園の回転テーブルを見た中国人が、これは良いと本国で普及させたためだといわれています。
それでは、横浜中華街の中華料理店では、どんなテーブルを使っているのでしょうか。
フジテレビの『めざましテレビ』では、独自に回転テーブルの普及率を検証。その結果によると、中華料理店50店のうち48店に回転テーブルがあったといいます。置いていなかったところも2店ありましたが、その理由を聞いたところ、いずれも店内が狭いため置くことができなかったそうです。
こうした検証結果からみても、回転テーブルは中華料理店のほとんどに置かれているといっても過言ではないでしょう。
イギリスにも存在した回転テーブル
日本発祥といわれる回転テーブルですが、細川氏が開発する以前から、イギリスには”Lazy Susan”(レイジースーザン)と呼ばれる回転テーブルがありました。
Lazyを日本語に訳すと”怠慢な”という意味であることから、「怠け者のスーザン」といったところでしょうか。Lazy Susanの起源にはいくつかの説がありますが、その由来や発祥についてははっきりとわかっていません。しかし、回転テーブルの誕生以前から外国で同様のテーブルが活躍していたことは確かなようです。
その証拠として、Lazy Susanの元となった“Dumb-Waiter(口のきけないウェイター)”に関する記述が、1732年の『The Gentleman’s Magazine 』に残されていることがわかっています。加えて、1903年にはアメリカの大工がつくったという回転テーブルが『Boston Journal』に掲載されています。
にぎやかに回転テーブルを囲んで
特に大人数で中華料理を楽しむときは、回転テーブルに案内されることが多いはずです。回転テーブルの中央にずらっと並んだ中華料理。あれもこれもとテーブルを左右に回せば、改めてその便利さを感じられるはずです。
中華料理店に行った際は、考案者である細川氏の思いやりを思い出しながら、大人数でわいわいと回転テーブルを囲み、種類豊富な中華料理を思いっきり味わいたいですね。