知識
2017.01.05
一陽来復、冬至の過ごし方
2016年の冬至は12月21日です。毎日を忙しく過ごしていると、ついおろそかにしてしまいがちな日本の年中行事ですが、その真の意味を理解しておくと忘れにくくなるはずです。今年の冬至に何もしなかった人も、冬至らしく過ごした人も、改めて冬至という日についておさらいしておきましょう。
一陽来復を境に幸運がやって来る
冬至とは北半球において太陽の位置が一年で最も低くなる日のことを指します。太陽の位置がもっとも低くなることで、日照時間が短くなる。つまり冬至は一年のうちで昼が一番短く、夜が一番長い日ということになります。逆に太陽の位置が一年で最も高くなる夏至は、昼が一番長く、夜が一番短くなる日です。
冬至を機に、その翌日から昼は少しずつ長くなっていきますが、このことから冬至は、太陽が生まれ変わる日として、世界各地で祝われてきました。また、冬至を太陽の力が最も弱まる日ととらえる中国では、この日を乗り越えると力がよみがえっていくと考え、一陽来復(いちようらいふく)とも呼ばれています。
一陽来復は古代中国の書物「易経」に出てくる言葉です。
中国の昔の暦では陰の気で覆われていた10月が終わり、11月になると陽の気が復活するとされています。衰えていた太陽の力が冬至を境に再び勢いを増していく様子から、新年が来るという意味のほかに、悪いことが続いた後は幸運に向かっていくという人生が好転するといった意味も込められているそうです。
カボチャを食べて、柚子湯に入ろう
冬至には「ん」のつく食べ物を食べるとよいとされています。
「ん」のつく食べ物は「運盛り」といわれ、運が呼び込める食べ物だと考えられてきました。なかでも「ん」が2つ続く、なんきん・にんじん・れんこん・ぎんなん・きんかん・かんてん・うどん(うんどん)は「冬至の七草」と呼ばれています。
カボチャには「ん」がつかないと思われるかもしれませんが、冬至の七草の一つである「なんきん」はカボチャのこと。漢字で書くと「南瓜」なり、陰(北)から陽(南)へ向かうことを意味しています。カボチャは粘膜を強くするビタミンAやカロチンを多く含んでいるので、風邪予防にも効果的です。栄養豊富なカボチャは、寒い冬を乗り切るための栄養源としても最適な食品。冬至にカボチャを食べる風習は、夏に収穫するカボチャを冬まで保存しておくために考えた賢人の知恵の結晶ともいえます。
冬至の行事食には、小豆(あずき)を使った冬至粥もあります。小豆の赤には邪気をはらう力があるとされているので、冬至の日に小豆粥を食べることで邪気をはらい、翌日からの運気を呼び込むという意味が込められています。地方によっては、小豆とかぼちゃを煮た、いとこ煮が作られるところもあります。
また、冬至といえば柚子湯に入るのが古くからの習わしです。これは、柚子を「融通がきく」、冬至を「湯治」といったように語呂合わせで縁起をかつぐという意味もあるようですが、もともとは運を呼び込む前の禊(みそぎ)からきています。柚子は実るまでに長い年月がかかることから、長年の苦労が実るよう願いを込めて柚子を湯船に浮かべました。
来年の冬至は一陽来復を祝福してみて
冬至の別名である一陽来復が、中国の「易経」に出てくる言葉だったことをご存知でしたか? 今年はちゃんと冬至の行事を行えなかったという方も、来年の冬至はそのルーツや過ごし方を語りながら、一陽来復を迎えてみてください。
冬至を境に日が長くなるとはいえ、寒さはこれからが盛りです。寒い日は皇朝のあたたかい肉まんでも食べて、ほっこりしてくださいね。